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ブランドの未来を描くということ。NYのアートディレクター本から見えた「本当のアートディレクター像」

辻 元気
こんにちは、栃木県にあるデザイン制作会社・株式会社アールイーデザインでクリエイターをやっている辻元気(ツジゲンキ)です。
先日、「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」(小山田 育、渡邊 デルーカ 瞳 著)を読みました。

読み進めるうちに、この本は単なる解説書ではなく、企業の未来の「見られ方」そのものを扱う本だと感じました。そして読み終えたあとに、私は一つの問いを持ち続けました。
本当のアートディレクターとは、何者なのか?

この本が示していた数々の視点は、私の日頃の仕事の感覚とも強く結びつき、学びというより「確認」や「再発見」に近い感覚でした。その内容と、自分なりの考えを合わせてまとめてみます。

中小企業は個性を出しやすいという希望

本のなかで印象的だったのが、「会社らしい個性的なビジネスを実現するなら、大企業より中小企業が有利」という指摘でした。

大企業は統制が取れていて効率的な反面、明確な個性を出しにくい面があります。一方、中小企業には判断の距離が近く、スピード感もあります。そのため、自分たちらしさを素直に表現しやすい環境が整っていると感じます。

私自身が中小企業で働いていることもあり、この考えは大きな希望を与えてくれました。

13ミリ秒で伝わるものと、200ミリ秒かかるもの

MITの研究ではビジュアル情報は13ミリ秒で処理されるとされています。
一方、ケンブリッジ大学の研究では文字情報の処理には200ミリ秒ほどかかるとされています。

同じ視覚から入る情報でも、絵や写真は圧倒的に早く本質を届けるという事実に驚きました。

新聞のスポーツ面を開いたとき、文字を読む前に写真一枚で「大谷翔平が活躍した」と理解できるあの瞬間は、まさに科学的根拠のある現象だったのだと気づきました。

アートディレクターは視覚情報の力を理解し、判断や合意形成を早める役割も担っているのだと改めて感じました。

ブランディングとは、相手の中にある「らしさ」を引き出すこと

本の中で特に心に残ったのは、ブランディングの定義でした。

企業や人が持つ「らしさ」を引き出し、それを価値として演出し、あらゆる体験に落とし込むことがブランディングであると説明されていました。

デザイナーの“やりたい表現”を押し出すのではなく、相手の内側にすでに存在している輝きを形として取り出し、整え、正しく伝わる形に変換する。その考えは、私自身の信念とも深く一致していました。

ブランドシステムは北極星のような存在

ブランドシステムとは、ブランドが迷ったときに立ち返る場所であり、未来への羅針盤となる存在だと書かれていました。

これは単なるガイドラインではなく、組織全体の軸となる基準です。
この基準があることで判断が整い、ブレが少なくなります。

迷ったときに視線を向ける北極星のような存在だという表現に、強い納得感を覚えました。

日本企業の意思決定が遅い理由

日本企業は慎重さと丁寧さを美徳としていますが、同時に「石橋を叩きすぎる」面があります。
確認や検討を重ねるうちにスピードが落ち、商機を逃すことも少なくありません。

一方、アメリカではまずやってみて、ダメなら修正するという文化があります。
この違いは明確な文化差ですが、アートディレクターはこの間をつなぐ役割ができると感じました。

視覚化によって判断を早め、共通認識を作り、方向性を揃えることは、企業のスピードを上げるひとつの力になると思います。

では、本当のアートディレクターとは誰なのか

この本を読み、自分の経験や感覚を重ねた結果、私の中では次の答えに行き着きました。

本当のアートディレクターとは、
ブランドが未来にどう見られるべきかを描き、その未来像を体験として現実に落とし込む人。

見た目だけを作るのではなく、ブランド全体の未来の在り方を設計する立場の人です。
そのために、未来の姿を言語化し、判断基準を整え、あらゆる接点の体験をその未来に向けて揃えていくことが求められます。

これは、ブランドに北極星をつくり、その光に向かって道を照らす行為だと思います。

辻 元気
この本を読んで、アートディレクションの本質は「未来への照明」だと感じました。
ブランドがどのような未来を目指し、どのように見られたいのか。
その未来の姿を描き、伝わる形に整え、体験として落とし込むこと。
私はそう感じました。

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