GAGARIN ユ・ヒョナさんの講座を受けてみた
早いもので、5月も終盤ですね。
木々の緑と爽やかな風に包まれ、夏の気配を感じるこの季節、最近は穏やかな日々が続いています。
皆様はいかがお過ごしでしょうか?
『Coloso』の中にとても興味深い講座をいくつか見つけたので、まとめて購入して少しずつ受けてみることにしました。
Colosoとは
2019年、韓国でスタートしたイラスト&映像のオンライン講座。
教育コンテンツを発信する企業として有名な「DAY1 COMPANY」が、社内独立起業として立ち上げたサービスです。
受講できる内容のレベルの高さから韓国内で需要が高まり、その評判は海を越えて日本へと伝わってきました。
2021年10月に日本でのサービスを開始。
Colosoの大きな特色と言えるのが、講師陣の豪華さにあります。Colosoで技術を教えてくれる講師は、その業界では名の知れた人ばかりです。
はじめに
まず初めて受けてみた講座が【ユ・ヒョナさんのコンセプトを極大化する書体とグラフィックデザイン】です。
実は…私事ですがこの度、ディレクター職からデザイナー職へ転向させていただくカタチになりました。
改めて自身は〝なぜデザインがやりたいのか?なぜデザインが好きなのか?“G.Wの連休を使って、じっくり自身の気持ちと向き合う時間を作りました。そこで、デザインが好きで勉強したきっかけは、「タイポグラフィ」にあると振り返りました。
当時、デザインの専門学校を選んだきっかけも学校のロゴが素敵で強く惹かれたことも思い出しました。
※ロゴは、当時の所長 浅葉克己さんがデザインしたものです。
話が脱線してしまいましたが、今回「ユ・ヒョナ」さんの講座を選んだ理由としては、デザインにはたくさんの知識が必要ですが、特に私はタイポグラフィが重要だと感じるということと、タイポグラフィが好きで興味を持ち深く知識を得たいと思ったからです。そして、今回の講師ユ・ヒョナさんの実績にも惹かれワクワクしたので受講を決めました。
講師紹介
デザインスタジオ「GAGARIN」代表 ユ・ヒョナさん
2019年7月に「GAGARIN」設立
『ソウルの散歩』を出版。デザイナーの間で好印象を与える。
[経歴]
2021 EXO SEASON’S GREETINGSのグラフィック
2021 Red Velvet SEASON’S GREETINGSのグラフィック
2021 Red Velvet Queensのグラフィック
2021 ロッテワールドの新年のグラフィック
2020 少女時代 SEASON’S GREETINGSのグラフィック
講座は、下記のプロセスで組まれています。
時代別書体スタイルの分析と適用事例を使った使い方の習得
デザインにおいて書体はメッセージを伝える役割はもちろん、審美的にインパクトを与える重要な要素です。しかし、書体が持つ脈絡が分からなけらば、これを適切な場面に使うことは難しいでしょう。今回の講座は時代別の書体スタイルについての様々な理論と事例を学び、これを基に書体をデザインに自然に適用する方法を学びます。
書体デザインのムードに合うイラストでロゴ&ポスターを完成させる
時代別の書体スタイルだけではなく公共やピクセル、ハンドライティングなどの様々なスタイルを学び、書体を変形させます。また、ロゴとポスターを制作しながらデザインの表現力を磨きます。特にブランディングの中心になるロゴは書体についての理解が必須です。ロゴに使われることが多い欧文書体についての理解を深め、すぐに使える完成度の高いロゴを作ってみます。
様々なブランドアプリケーションの制作および実務プロセスを身につける
GAGARINスタジオで作業したブランディングのケーススタディとパッケージおよび空間グラフィックスのアプリケーション実習を通してデザイン感覚をアップグレードします。「GAGARIN」だけの作業ノウハウとフリーランスの実務プロセスまで学ぶことができます。
講座を通して得たもの・感じたこと
まず、ユ・ヒョナさん自身がなぜデザイナーとして「タイポグラフィ」を大切にしているのかを聞いて感銘を受けました。
「- まるでファーストフードのように簡単に作られるデザインが多いですが、この部分を改善すべきたと思う。
デザインのクオリティーが高いと、オーナーが愛着を持ちブランドの寿命が伸びて成功するブランドが増えると1年に何度も行われるインテリア工事が大幅に減り、結局は廃棄物も減るはず。少なくても、見た目の悪いデザインにならないためにフォントの基本を身につける必要があるということ。基本がないと、豊かで自信のあるデザインにならない。フォントに自身が持てるとデザイン領域も広まって面白くなるのではないか。」「- 例えば、スーパーに行くと当然期待通りの商品とデザインがあり、新しい商品が販売されてもなぜこのようなデザインなのか考えるのではなく、このようなデザインや形、名前を持った製品が新発売されたのだと考えるため、少なくてもデザインに合わないことによるぎこちなさや拒否感は与えてはいけない。デザイナーは、一般の方々がわからない部分までフォントを分類できることが必要。」
Coloso:GAGARIN ユ・ヒョナさん
この言葉を聞いて、私も違和感ない日常に馴染むデザインを追求できるような人になりたいと思いました。
また、ユ・ヒョナさんのデザインへの向き合い方もとても刺激になりました。
「-デザイナーは、何よりも個人をどれだけ上手くブランディングするかが大切」だとという言葉もずっと印象に残っています。
実際に「GAGARIN」のケーススタディをもとに手を動かして、細かいテクニックやツールの使い方を学び、今後自身の実務に活かしていきたいものが多数出てきました。
少し手を加えただけでも、大きく変わるデザイン。難しいし、面白いなとも痛感しました。
ユ・ヒョナさんがオススメする一部の本を手に取ってみました。
「フォントのふしぎ」を読んでみて、有名な欧文フォントの知識がたくさん掲載されていました。自身が知らないフォントも見つけ、今回下記の3つのフォントが気になりましたのでヒックアップいたします。
左)ドイツのデザイナーRudolf Koch作のNEULAND(ノイランド)。
ルドルフコッホは、20世紀初頭に活躍したドイツのデザイナーでこのノイランドの他にも“Kabel(カーベル)” “Koch Antiqua(コッホアンティカ)” など、数多くの見出し用書体を残している。ノイランドは木を削ったかのような無骨さと親しみやすさ子供っぽさのようなものを感じさせる。
中央)kino(キーノ) は、デザイナーMartin Dovey(マーティン・ダヴェイ) が1930 年に Monotype Corporation のために制作。この書体は太字で、文字の上部と下部が切り取られている。Kino はディスプレイ タイプの中でもユニークなフォント。三角形のセリフを持つディスプレイ書体は「ラテン」と呼ばれることがあるが、Kino は「セリフのないラテン」と呼ばれる。
右)ダイソンのロゴは、1991年の創業以来、変わっていない。この人間味のあるサンセリフ体は、Horatio(ホレイショ)という書体に近い。書体がデザインされたのは1971年。ダイソンのロゴより実際の書体はもう少し幾何学的。Horatio(ホレイショ)は、デザイナーEsselte Letrasetに制作されたもの。
番外編
個人的に欧文フォントで一番好きなものが「Gill Sans」になります。
Gill Sansは、1930 年前後にイギリスのモノタイプ社が出して以来、人気の衰えないサンセリフ体。デザイナーは石碑や彫刻も彫ったイギリスの有名な芸術家エリック・ギルで、彼はこの他にもいくつか活字をデザインしている。Gill Sans は、ギルがある店のために描いた堂々とした大文字の看板がベースになったと言われている。
「すっきりしたサンセリフ体」「読みやすい」「大文字が碑文のような堂々とした感じ」「見慣れていて親しみがある」といった印象。
そして、今回講座を受けて知らないフォントを見つけてもっと知ろう…と思い立ち、Adobe fonts中を探っていたら、お気に入りを見つけた「Masqualero」です。
Jim Fordが制作したMasqualeroは、アメリカのジャズミュージシャンであるMiles Davis(マイルス・デイヴィス)にちなんで名付けられただけでなく、マイルスの際立つ個性を、そのシャープなセリフの最後の1つに至るまで再現している。勢いのある文字に、多くの複雑なディテール。この書体は、使用するデザイナーの手や書体に込められる言葉に応じて、暗かったり、明るかったり、歓迎されたり、脅されているような印象を受けます。6種類のウエイトとイタリック体を備えているこの書体のカスタムメイドの文字はそれぞれ、読み手を捉えて離さない魅力的なデザインで構成されている。
気になったフォントの実例(書籍やポスター、音楽ジャケット、サイン、プロダクトなどに使用されている)は、【Fonts In Use】から見ることができます。
今回のユ・ヒョナさんの講座を受けてみて、更にタイポグラフィについて知識を深めいていきたいと思わされ、私にとってとても良いきっかけとなりました。
そこで、まず基礎知識から改めて。下記の本はとても丁寧にタイポの基礎が掲載されていてオススメです。
そして、タイポグラフィについての本を探し歩いていたら、とても優秀な本に出会いました。
Webに使えるタイポグラフィの本を探していたので見つけた時には嬉しかったです。Webサイトのデザインでとてもためになる知識が掲載されており、常にお守りとしてデスクに忍ばせています。装丁は、田中良治(Semitransparent Design)さんが手掛けており、ブックカバーを外した本のデザインも素敵で本当にオススメです。
最後に
今回は、冒頭でもお伝えした通り、自分は〝なぜデザインが好きなのか?“ と、自身の気持ちと向き合い、その結果Colosoの【GAGARIN ユ・ヒョナさん】の講座に辿り着きました。
結論から言うと、講座を受講して本当に良かったです!デザイナーであることへの姿勢やデザインとクライアントとの向き合い方、そして更にタイポグラフィの知識を深めて、自分の好きを何かしら自分の武器にできたらと感じました。
ユ・ヒョナさんのように、これから自ら学ぶことへの意識を一層高めていきたいです。
まだまだ学ばなければいけないことが沢山ありますが、着実に一歩ずつ精進していけたらと思います。